CINEMA DISCOVERIES

Profile

岩切一空

1992年生まれ、東京都世田谷区出身。
早稲田大学文化構想学部に入学。大学公認映画サークル「稲門 シナリオ研究会」に所属し、初めて映像制作に触れる。2012年、『ISOLATION』にて第25回早稲田映画まつりグランプリを受賞。大学卒業後、ENBUゼミナールに入学、池田千尋監督に師事する。『花に嵐』で2017年度(第58回)日本映画監督協会新人賞受賞。齊藤工監督作品『COMPLY+-ANCE』(2020年)にパ ート監督として参加。

 

Filmography

〇ISOLATION(2012/47min)
 ・第25回早稲田映画まつり グランプリ受賞

〇花に嵐(2015/76min)
 ・日本映画監督協会新人賞
 ・PFFアワード2016 準グランプリ・ジェムストーン賞(日活賞)
 ・日本映画ペンクラブ賞受賞
 ・カナザワ映画祭 期待の新人監督 観客賞 出演俳優賞受賞
 ・TAMA CINEMA FORUM  [TAMA NEW WAVE ある視点部門]入選
 ・横濱インディペンデント・フィルム・フェスティバル 長編部門最優秀作品賞受賞
 ・東京国際映画祭特別上映

 

〇聖なるもの(2017/90min)
 ・MOOSIC LAB 2017 グランプリ 最優秀女優賞 男優賞 ミュージシャン賞
 ・第 22 回プチョン国際ファンタスティック映画祭 審査員特別賞受賞
 

〇COMPLY+-ANCE(2020/70min)


 

Close Up
監督の魅力に迫るQ&A

Q. 映画制作をはじめたきっかけは?

大学の映画サークルに入ったから。

Q.影響を受けた作品、監督は?

一番初めに映画を意識したのはクローネンバーグの「ザ・フライ」。

Q.仲の良い監督は?

たぶん一番仲いいのは首藤凛監督です。たぶん。

Q.注目している監督は?

常に新作が見たい人という意味では庵野秀明監督。

Q.関心のあるテーマは?

死後の世界。

Q.映画制作の過程で、チャレンジングと感じることは?

自分のイメージを他人と共有すること。

Q.得意なジャンルは?

ジュブナイル。

Q.監督業の面白さは?

たぶん一番テンションが上がるのは編集中です。

Q.映画づくりでこだわっていることは?

難しいと思ったら早めに諦めて違う方法を考えること。

Q.インディペンデントという領域の魅力は?

ノイズが少ない。

Q.一緒に仕事をしたい役者は?

昔から作品を見ていて好きという意味では窪塚洋介さんです。
あとは、実際にお会いしてみて斎藤工さんと映画を作ってみたいと思いました。

Q.死ぬ前に映画を一本見るとしたら、何を選びますか?

死ぬ前に2時間も時間をとられたくないです。

Q.映画を見る時に、何を期待しますか?

見たことないものを見せてくれるかどうか。

Q.1年に一度だったり、数年に一度など定期的に必ず見る映画は?

『8 1/2』

Q.好きな食べ物は?

寿司。

Q.趣味は?

麻雀。

Q.居心地の良い場所はどこですか?

Q.インディペンデント映画を扱った動画配信サービスに寄せる期待

監督が好き勝手に撮って良い、短編のオリジナルシリーズ。

 

Interview

インタビュー・テキスト:伊藤さとり

『実写の世界で新海誠監督みたいなことをやりたいんです』

ありのままの表情に魅せられ突き止める先にあるものとは?

──映画監督になりたいと意識した最初の作品は何ですか?

フェデリコ・フェリーニ監督の『8 1/2』がきっかけです。「岩切はこれを観た方がイイよ」と先輩が勧めてくれたんですが、たまたま早稲田松竹で上映していたんです。それを観た時に、こんな作品があるんだと思ったんです。

──そこから、具体的に映画を撮ろうと思ったきっかけというのは?

その当時、就職をしたくなかったというか、働きたくないなぁと思っていたら、22歳の時に家を追い出されたんです。仕方なく、ルームシェアをして、そこで役者の人と出会って『花に嵐』を撮ろうという話になったんです。

──『花に嵐』はPFFアワード2016準グランプリに選ばれ、岩切監督の人生を大きく変えるきっかけになりましたが。

映画を作ったのだからとりあえず映画賞に出してみようと思って、一番有名なPFFに応募したんです。そこで『花に嵐』が賞を貰わなかったら『聖なるもの』を撮ろうという気持ちにならなかっただろうし、『花に嵐』を撮っていなかったら、そもそも映画を撮ろうと現時点で思わなかったんじゃないでしょうか。

──演出をする際に“自分がこだわっているな”と思うことはありますか?

例えば『COMPLY+-ANCE コンプライアンス』では、撮影時に中井友望さんは中井さんのままでお願いします。ようは、「あなたが考えていることをあなたの言葉で説明してください」と言ったんです。そう考えると、僕は“あなたの言葉で説明してください”が欲しいからドキュメンタリーのテイストで撮りたくなっちゃうのかもしれないですね。

──カメラマンさんが写真集を撮る時に使う手法のようにも感じますが。

写真家さんの話も聞くと、たしかに僕の演出は写真家っぽいのかもしれません。だから人によっては傷つく言い方をしているのかもしれないんですが、たまたま今まで組んだ女優さんたちが打たれ強かったのかなと。皆さん思ったことをちゃんと返してくれる人達だったので、そのままの感情をカメラの前で出してくれたのかもしれません。

──『花に嵐』『聖なるもの』『COMPLY+-ANCE コンプライアンス』共に、モキュメンタリー的に撮られていますが、この撮り方を思い付いたきっかけはなんですか?

高校時代は『パイレーツ・オブ・カリビアン』などを観ていたんですが、大学に入って特に映画を観始めるようになって、大学の映画サークルで先輩の勧めで80年代、90年代の日本の監督の自主映画を見るようになったんです。園子温監督の自主映画や平野勝之監督のPFFアワードに入選した『愛の街角2丁目3番地』や矢口史靖監督とかの自主映画時代の作品です。それからヨーロッパの映画も見るようになって、この表情ってハリウッド映画の撮り方では出来ないだろうし、どうやって作っているんだろうと思ったんです。それがドキュメンタリー調で撮るという考えになったのかもしれません。

──監督自身がこだわっている撮影方法が、ドキュメンタリー調ということなんでしょうか?

フェイクドキュメンタリー自体は好きなんですが、フェイクドキュメンタリー的なものを撮りたいわけじゃないんです。『COMPLY+-ANCE コンプライアンス』がそもそもやりたいことだし、『聖なるもの』もやりたいことの一つだし、アニメ的なものも好きだし、女優さんが、芝居ではなく、本当に泣いている画も好きだし、それをどうやって撮ろうかなと考えて作ったのが『聖なるもの』なんです。

──今後、どんなものを撮ってみたいですか?

オリジナルでも原作ものでもいいんです。それよりも話が好きかどうかが大切ですね。青春もの、ホラー、SFとか好きですね。実写の世界で新海誠監督みたいなことをやりたいんです。ただそれを撮ろうとするとCGなどお金がかかるので、その手法としてドキュメンタリー調で撮れば、実写映画の中でアニメが持っているエモーショナルを切り取る方法の一つに、ドキュメンタリータッチがあるんじゃないかと思っているんです。フェイクドキュメンタリーって言うとB級ホラーものに思われがちですが、ドキュメンタリーとそうでないものの違いって、撮られる側がカメラマンを意識するかどうかだけなんです。そう考えるとドキュメンタリータッチの映画って本当は劇映画でもいっぱいあるじゃないですか。だからフェイクドキュメンタリーと言わずにうまくその手法を取り入れたバランスで作った先に、新海誠監督みたいなものがあるんじゃないかと思っているんですよね。

──具体的にいつか撮ってみたい作品はありますか?

椎名うみさんの漫画「青野くんに触りたいから死にたい」、ジャンルとしてはホラーです。実写化するとしたら意外と大変なんですがやりたいですね。

──理想とする監督像はありますか?

庵野秀明監督ですね。実写でもスゴイものを撮って、アニメの世界でもスゴイものを撮っていて、一本一本、挑戦していて素晴らしいですよね。『シン・ゴジラ』もそうですが『キューティーハニー』もやっていますし、今後、『シン・ウルトラマン』を撮るんですから。

──自分はどんなタイプの監督だと思いますか?

クランクインする時まではめちゃくちゃ頑固なんです。いざ、クランクインしますという時は諦めが早いんです。“人事を尽くして天命を待つ”タイプかもしれません(笑)。

岩切一空監督の作品