CINEMA DISCOVERIES

Profile

大野大輔

1988年、千葉県生まれ。
映画美学校 13期フィクションコース初等科修了後、映画制作チーム「楽しい時代」を結成。2016年、監督作『さいなら、BAD SAMURAI』がカナザワ映画祭でグランプリ。2017年、第2作となる『ウルフなシッシー』がTAMA NEW WAVEでグランプリ・最優秀男優賞・最優秀女優賞を受賞。K’s cinemaにて単独公開される。続く松本穂香主演のWEBドラマ『アストラル・アブノーマル鈴木さん』が好評につきディレクターズ・カットの劇場版として公開。そのほかの作品に monogatary.comの公募企画で作られたWEBドラマ『冥界喫茶ジュバック』など。現在は新作『辻占恋慕』の準備中でクラウドファンディングも以下のサイトで開催している。

Information

▼Twitter

https://twitter.com/driftwood2010

▼新作映画『辻占恋慕』のクラウドファンディング

https://motion-gallery.net/projects/tsujiurarenbo


Close Up
監督の魅力に迫るQ&A

Q. 映画制作をはじめたきっかけは?

幼少期から映画鑑賞が好きだった為

Q.影響を受けた作品、監督は?

『デビルズ・リジェクツ』ロブ・ゾンビ監督

Q.注目している監督は?

S・クレイグ・ザラー

Q.関心のあるテーマは?

コロナの狂騒

Q.映画制作の過程で、チャレンジングと感じることは?

撮影スケジュールを見た時

Q.得意なジャンルは?

シュールだのオフビートだの意味不明だの散々言われてます

Q.映画づくりでこだわっていることは?

プランBを考える

Q.死ぬ前に映画を一本見るとしたら、何を選びますか?

『007 カジノ・ロワイヤル(67年)』

Q.映画を見る時に、何を期待しますか?

開いた口が塞がらない様なハッタリ

Q.映画の中のキャラクターとして生きるとしたら、どの映画の誰がいいですか?

かみそり半蔵『御用牙』

Q.1年に一度だったり、数年に一度など定期的に必ず見る映画は?

『続・夕陽のガンマン』

Q.好きな食べ物は?

バインミーに最近ハマってます

Q.愛読書は?

映画秘宝

Q.邦洋問わず、お気に入りのスターは?

アダム・ドライバー

Q.居心地の良い場所はどこですか?

ベローチェ

 

Interview

インタビュー・テキスト:牛津厚信

インディペンデントの怪しい映画たちに誘われて

──大野監督は幼い頃から映画を見るのがお好きだったそうですね。その頃の映画体験は記憶に残っていますか?

そうですね、両親が映画好きで、ずっと家族で見に行ってたというのは大きいと思います。休みの日になると「さあ、映画に行こう」って感じだったので、結構、毎週のように見てたと思いますね。初めの頃に見て記憶に残っているのは、シュワルツェネッガーの『トゥルー・ライズ』。ハリウッドど真ん中の作品ばかりでした。

──そういう観客側だった大野さんが「作りたい」と思い始めたきっかけはなんだったんですか?

ずっと映画を見てきて、そしてある時期になると今度は「映画秘宝」などを読み始めたことで、家族が一緒の鑑賞とはまた違った一人きりの探索が始まって。それで世の中にはこれほど“キケンな映画”が存在するのかと(笑)。

──扉を開けてしまったのですね。

ええ。中学生の頃には『ラッパー慕情』の藤原章さんとか、『恋する幼虫』の井口昇さんとか、日本のインディペンデントの怪しい映画が一気に噴き出してくる、ちょうどそういう時期にぶつかって。そんな方々の作品に大きく影響され「もしかしたら自分でも作れるのかな」と考えるようになっていっちゃったんですね。

決して独りよがりであってはいけない

──その後、映画美学校で学ばれるわけですが、プロフィールにはこの頃に「楽しい時代」という制作チームを発足させたとあります。これは志を同じくする仲間たちとともに結成したものですか?

あ、違うんです!これ、チーム名として「楽しい時代」と銘打ってはいるものの、実はメンバーは僕一人だけでして・・・(笑)。塚本晋也監督の「海獣シアター」のような、自分が手がけた自主映画に刻印されるプロダクション・カンパニー的なものにしたくって。

──ずばり、「楽しい時代」という名前に込められた思いとは?

大野:多分、僕がその頃、人生でいちばん鬱屈していて、かつ卑屈になっていた時だったので、あえてそういう風に命名したのかもしれません・・・。

──よく「映画監督として映画を撮り続けることができるのは、ほんの一握りの人間だけだ」と言われます。今振り返ってみて、大野さんは順調にこの道を歩んでこられたと思いますか。

僕は、ほぼほぼ、挫折しかないですね。挙げ句の果てに、そのどうしようもない挫折をテーマに据えて自主映画を作り始めたくらいですから。するとその映画を、思いがけずカナザワ映画祭で高く評価していただいて。それでようやくいろんな方々に見てもらえるようになっていった感じです。

──挫折や失敗をスクリーンの大画面でみんなと共有して、しかもそれに賞まで授与されるって、冷静に考えるととてつもなく凄いことですよね。

そうですよね、言い方はあれですけど、本当にそれって、センズリ映画の極北みたいな・・・(笑)。

──ははは・・・(笑)。でも、そういう挫折を作品へと昇華させるところが素晴らしいと思うんです。大野作品は、決して鬱屈したままで終わらず、しっかりエンターテインメントとして達成されている。

やっぱり、センズリ映画ではあるのだけれど、だからと言って、独りよがりであっては絶対いけない。その点は最初から心がけていますね。なるべく自分を客観視して見つめて、第三者が笑えるようなオナニー映画になればいいんじゃないかと(笑)。そう思いながら作っているのですが。

いちばんホッとするのは、オフライン作業を終えた時

──大野さんにとって、映画作りの面白さとか、これぞ映画作りの醍醐味と感じられる点ってどこでしょう。

うーん、なんですかね。パッと答えが浮かべばいいんですが・・・そういう面白さや醍醐味を今なお探してる最中なのかもしれないですね。

──なるほど。では、大野さんが映画作りの中でいちばん達成感を感じる瞬間ってどこですか?

達成感は・・・やっぱりオフラインが終わった瞬間ですね。編集が終わって、一本まとまったものを見るとき。達成感というよりは、むしろホッとするという感じに近いかも。

──他の監督さんにこの質問をすると「劇場でお客さんに見てもらった時」と答えてくださる場合が多いのですが、さすが大野さん、ひと味違う。

僕、正直言って、あまりお客さんからいい反応を頂いたことがないんです。だいたい「意味がわかんなかった」とか「シュールですね」とか「オフビートですね」とか、いちばん言われたくない感想を言われることが多くって・・・(笑)。

──(笑)!

インディーズ界隈の上映会は、舞台挨拶の役者さん目当てにいらっしゃるお客さんも多いので、僕としてはちょっと疎外感というか、苦手意識があるのかもしれません。もう正直なところ、勝手にやってくれという気持ちです(笑)。

実現可能かどうか、常に考えながら構想する

──シネマディスカバリーズの鼎談の中で、SPOTTED PRODUCTIONSの直井さんが「大野監督は職人だから」とおっしゃってます。これは、何かあった時にすぐ代案を提示してくれるという意味だと思うんですが、大野さんは一体どういうところでそのワザや気質を身につけられたのかなと。

それは多分、プロットの段階で、あらかじめいくつか枝葉を意識しながら書き進めているからだと思います。もしも枝のどれかが折れたら、その時はもう一つのこっちの枝で、といった感じで組んでいる。だから何か起きた時にすぐに別の可能性が見つけやすいんでしょうね。あと、予算的なものも頭に入れながら書いてます。やっぱりお金のない自主映画からやってきた人間なので、実現可能かどうか、常に考えながらやるようになっちゃったのかもしれないです。

──今後の展望としては、商業映画を手掛けつつも、折を見てインディペンデントに舞い戻りながら映画作りを続けていこうと思われますか?

そそれこそ、今準備中の次回作はいちおう商業作ではあるんですけど、完全に僕のオリジナルの企画なので、原点回帰というかインディペンデント寄りの作品にはなっています。でもまあ、そこだけに偏らず、いろんなジャンルの作品を撮っていきたいですし。何かお声掛けいただいたら何でもやりますっていう感じです。

──今回のコロナ騒動で影響を受けた部分ってありますか。

結構ありますね。僕も当然ながら予定していた企画が全てストップしてしまっており、こればかりはどうなるか。状況を見ながら、今できることを日々、少しでも前に進めて行くだけだけだと思っています。

──最後に、インディペンデント映画の作り手や、これから作ってみたいと考えている人へのメッセージとかアドバイスがあればお聞かせください。

こんなこと言うと元も子もないのですが・・・映画は本当に観るに限る、というのが僕の本音です(笑)。ただ、最近はいろんなフォーマットがありますから。WEBドラマなり、ユーチューバーの方々の動画配信もそうですけれど、いろんな映像の媒体が出来上がっているので、何か作りたいという衝動が少しでもあるのならば、ぜひあまり躊躇しすぎることなく、まずは思い切ってやってみるのもいいんじゃないでしょうか。

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