CINEMA DISCOVERIES

Profile

阪元裕吾

1996年生まれ大阪育ち。
バイオレンスな映画ばかり撮っている。『ハングマンズ・ノット』『ファミリー☆ウォーズ』が代表作。

主な監督作品

◯『べー。』(2017)
残酷学生映画祭2016 グランプリ

◯『ぱん。』(2017/辻凪子と共同監督)
MOOSIC LAB 2017 短編部門 グランプリ
2018年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 短編コンペティション部門 グランプリ
第22回プチョン国際ファンタスティック映画祭 審査員特別賞受賞

◯『スロータージャップ』(2017)

◯『修羅ランド』(2017)

◯『ハングマンズ・ノット』(2017)
 カナザワ映画祭2017 新人監督賞

◯『ファミリー☆ウォーズ』(2018)

◯『すじぼり』(2019)TVドラマ

Information

▼Twitter

https://twitter.com/ashida10721
 

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監督の魅力に迫るQ&A

Q. 映画制作をはじめたきっかけは?

高校生の時に面白い友達がいて、「こいつを世界に広めるのは俺だ」と言う謎の義務感から映画を撮り始めました。本格的に自主映画を撮り始めてからの処女作である「ベー。」と言う作品も、辻凪子という女優が魅力的だったため、「この子でこんなの撮ったら面白いだろうな」がきっかけです。自主映画を撮る衝動は、全て撮りたい人がいたことによるものでした。

Q.影響を受けた作品、監督は?

「ダイ・ハード」「バーン・アフター・リーディング」「イングロリアス・バスターズ」「ヒーローショー」「ディストラクション・ベイビーズ」10秒で思いついたものですが。吉田恵輔監督が好きです。

Q.仲の良い監督は?

酒井麻衣監督に片思い......

Q.注目している監督は?

シンプルに「無頼」が楽しみなので井筒和幸監督です......。

Q.関心のあるテーマは?

家族。リンチ。食人。

Q.映画制作の過程で、チャレンジングと感じることは?

チャレンジング......?!スタッフさんや役者さんが嫌がった時ですね。

Q.得意なジャンルは?

恋愛。

Q.監督業の面白さは?

監督やるのは楽しい苦行って感じなので、一言では言えませんが、知らん人に会えるのは嬉しい事です。死ぬほどムカつくこともありますが。

Q.映画づくりでこだわっていることは?

こだわってること!?!??!とにかくデータが消えないようにしてましたね。とにかく。毎日不安でした。

Q.映画とは?

映画とは?!?!??!わからない!!!!!!!
まあ映画館に行くことって、その日と言う1日含めて体験になるから良いですよね。

Q.一緒に仕事をしたい役者は?

ジャルジャル後藤さん。東京03飯塚悟史さん。バナナマン設楽統さん。

Q.死ぬ前に映画を一本見るとしたら、何を選びますか?

死ぬ前に映画見る気にならないと思います。死ぬ前はこち亀を読みたいです。

Q.映画を見る時に、何を期待しますか?

「ああ~~~~こいつ現実では絶対会いたくね~~~~~~~~~~~~~~」って思うキャラクター。

Q.映画の中のキャラクターとして生きるとしたら、どの映画の誰がいいですか?

「ビジランテ」の桐谷健太さんが演じる三郎は嫌ですね。ヤクザに詰められて焼肉屋で鉄箸で手を刺されるのはすげえ嫌です。あと「ジャッキー・コーガン」でギャングに因縁つけられて雨の中すげえボコボコにされた挙句ブラピに撃ち殺されるレイ・リオッタも嫌です。「新しき世界」の冒頭でボコボコにされてコンクリートを胃に流し込まれて海に捨てられるのも嫌ですね。嫌な目に遭う映画ばかり見てるので、「こんな目に遭うのは嫌だな」って人ばかりです。のび太くらいですね、楽しそうなの。

Q.1年に一度だったり、数年に一度など定期的に必ず見る映画は?

「テロ、ライブ」めっちゃおもろいです。あと「プロジェクトX」も。

Q.好きな食べ物は?

サムギョプサルは家でやったらめちゃくちゃ安く済むしめちゃくちゃ美味しいのでおすすめですよ!タコパは結構作るの大変だし(まずキャベツのみじん切りがめちゃくちゃめんどくさくないですか?)コツもあるので、サムギョプサルパーティーの方がもっとメジャーになれば良いのにと思っています。
当然タコパもめちゃくちゃしますけど、たまに具材お願いしたらタコしか買ってこない人とかいてビックリしますよね。いや「ちゃんとしたたこ焼き」が食べたいなら銀だこ行けやってなりませんか。こういうバラエティ的なたこ焼きでほんまにタコ買ってきてどうするねんと。僕のオススメの具材はホタテです。熱々でプリプリになってめっちゃ美味しいですよ。あとイワシの缶詰とかも結構安くて美味しいです。調味料で味変したかったら、意外とケチャップとか醤油つけても美味しいですよ。
あと「ホットケーキミックス買ってきたから最後にデザートでベビーカステラにしよう~」って言う女の人がまあまあな確率でいますが、結局たこ焼きで腹パンパンになって食べないことが多いので要らないです。
あと二郎系ラーメンも食べちゃいます。でも京都の「夢を語れ」「池田屋」の双璧を崩すラーメンは東京にはありませんね。
あとチーズナン。下北の印度って店がコスパ良いです。

Q.趣味は?

漫才見るのが好きです。劇場に行ったことないので行ってみたいです。音楽聴くのも好きです。PEDROとか好きです。

Q.愛読書は?

又吉直樹とせきしろさんの「カキフライが無いなら来なかった」シリーズの自由律俳句はすごい好きです。ああ言う感性は自分にはないので。
あとこち亀です。大体のことはこち亀が先にやってます。

Q.邦洋問わず、お気に入りのスターは?

スター?!?!??!?アクションスターのイコ・ウワイスですかね。痛がる顔が絶品です。あとビョンホン。

Q.居心地の良い場所はどこですか?

布団です。

Q.インディペンデント映画を扱った動画配信サービスに寄せる期待

気軽に見れるようになると良いですね。
 

質問に無かったですが、「警察官をクビになった話」を実写化したいです。よろしくお願いします。

 

Interview

インタビュー・テキスト:ヒナタカ

「みんなも抱えているモヤモヤを形にして、かつエンターテインメントに出来たら良いなと」

『スター・ウォーズ』よりも『宇宙戦争』派だった

——監督に影響を与えた映画はありますか。

小学6年生の時に、R15+指定の『バトル・ロワイヤル』を友達の家で観ちゃって、「クソ面白い映画が出てきたな」と思っていましたね。その『バトル・ロワイヤル』に桐山和雄という“強キャラ”がいますよね。ああいう良い意味でのマンガ的というか、リアルからの飛躍が作家としていちばん大切だと思っているんです。

——『バトル・ロワイヤル』の桐山は感情のないまま、クラスメイトを次々と殺害していくという強烈なキャラクターですね。『ハングマンズ・ノット』のサイコパスの大学生と通じるところがあります。

そうですね。他にも2005年には『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』と『宇宙戦争』が同時期に映画館でやっていて。小学校のクラス内で「お前はどっちを観るんだ?」という論争が起きていたんです。俺はそれまで『スター・ウォーズ』シリーズを観てもあんまりハマらなかったので、親に頼んで『宇宙戦争』を観に行ったら、地球が侵略された上に、主人公の親子がひどい状況に追い込まれていく様子の何より怖いことが俺にビシッとハマったんですよ。この『宇宙戦争』を観に行ってしまったことが、『ハングマンズ・ノット』や『ファミリー☆ウォーズ』を作るきっかけになったんじゃないかなと思います。

——理想とする監督像はありますか。

追いかけているというか、良いなと思っているのは吉田恵輔監督ですね。『さんかく』『犬猿』『愛しのアイリーン』など、どれもメインの登場人物が3,4人で、舞台が地方都市など限定的なのに、ずっと集中して観ていられるんです。実際に、『ヒメアノ~ル』を観て俺は『ハングマンズ・ノット』を撮ろうと思ったんですね。
吉田恵輔監督は『銀の匙 Silver Spoon』のようなマンガ原作の映画をやっていたり、次回作がボクシングジムを舞台に展開する青春群像劇だったりと、作家としての振り幅も大きいですよね。俺は「いろいろなクセのあるヤツが出てきて、そいつらが戦えばそりゃおもろいやろ」ということをずっとやってきているんですが、数人のこじれが色々なドラマを生むという吉田恵輔監督の作家性はその方向性と似ていて、偉そうな言い方ですが目指しやすかったんです。それプラス、韓国映画のようなバイオレンスをガッと出す映画を撮りたいと思っていましたね。

——確かにバイオレンス要素に韓国映画らしさを感じました。好きな韓国映画はありますか?

最初に観た韓国映画は、高校生の時のナ・ホンジン監督の『哀しき獣』でしたね。それまで犯罪ノワール的な映画は『アウトレイジ』しか観たことがなかったので、「こういう映画の面白さもあるのか」と思いましたね。普通の映画は良い方向へ良い方向と進むのに、『哀しき獣』は悪い方向へ悪い方向へと話が転がっていて、それがエンターテインメントになっている映画はそれまであまり観たことがなかったんです。『ハングマンズ・ノット』も『ファミリー☆ウォーズ』も、まさに悪い方向にしか行かない内容ですから、影響は受けているとは思います。

モヤモヤを描くことにこそ意義がある

——『ハングマンズ・ノット』と『ファミリー☆ウォーズ』は、監督が目指しているものが明確化しているからこそ、エッジの効いた作品になったのではないかと思います。映画を作ることは、ご自身にとってどういうことなのか、今一度教えてください。

みんなが嫌に感じることを描きたいということはありますね。わかりやすいところで言うと、『ハングマンズ・ノット』でクレーマーが店員に殴り返されるというシーンがありますね。まあ、観ていてスッキリするわけですが(笑)、それだけじゃ映画にはしてはいけないとも思っているんです。SNSのマンガでよく見かけるような「ムカつきました。こんなヤツいました。こいつを作品の中で殺しました」というのは個人的にはあまり好きじゃない、それだけだと映画の表現にはならないと、はっきり言いたいんです。みんなが嫌に感じることを物語でどう掬い取って、エンターテインメントとして盛り上げて行くかというのは、俺の技量にかかっていますね。
また、ひどい事件が起きた時のモヤモヤした気持ちを、作品に取り入れたいとも思っていますね。例えば「万引きは悪いことです」という当たり前ことを言うだけでは、プロパガンダのようですし、映画の表現にはならないですよね。そのような単純な答えを出さず、俺だけでなく観客にもモヤモヤしてもらうことは、意義のあることだと思うんです。
まあ、『ファミリー☆ウォーズ』はモヤモヤしてもらうというよりも、単純な答えを出してしまっている気もしますが(笑)、これはこれで“あの頃にしか撮れなかった映画”になりましたね。今の俺が考えているモヤモヤ、みんなも抱えているモヤモヤを形にして、かつエンターテインメントに出来たら良いなと毎回考えながら、映画を作るようにはしていますね。

——そのモヤモヤをきっかけにして、世の中にある既存の価値観を見つめ直すことにもつながりそうですよね。そういえば、監督はご自身を作品の中の登場人物に投影することはあるのでしょうか。

自分のことはあまり書かないようにしています。と言うのも、自分の“逃げグセ”というか、バイトをすぐに飛んじゃうとかいったダメな部分を反映させた脚本を書いたことがあるのですが、これがもうクソ面白くなかったんですよ。でも、いちばん最初に書いた脚本は“カッパと大学生が戦う”という内容ながら脚本家の先生にすごく褒められたんです。そのこともあって、自分自身がそこまで映画の中に入り込ませないように、あくまで「こうしたら面白い」「こういう人間がいたら面白い」ということを書くようにしていますね。

——でも、『ファミリー☆ウォーズ』では監督ご自身が役者としても出演されていますよね。それはご自身が出たかったからですか。

俺が出たかったからです(笑)。もともと演劇部で役者をやっていたこともあって、単純に俳優業も好きなんです。

新型コロナウイルスの状況を映画に反映するべきか

——理想とする製作環境や製作体制があれば教えてください。

1ヶ月くらいの期間をかけて撮る、というのがまず理想ですね。今までは撮影期間が2週間あればいいほうで、スケジュール的にパンパンだったので。
また、役者とのコミュニケーションが、現場に入るまではなかなか取りづらいことが多かったので、そこも改善したいです。本読みや衣装合わせの時間を取るには取っているんですが、本当は脚本の段階から「ここはどうですか」って役者さんに聞きたいんです。そんなのいらないという人もいるとは思うんですけど、作り手としてはやっぱり主人公格を演じる方だけでも「心が沸きますか? どう思いますか?」と反応をもらいたいんですよ。現場に入ってから「私はこう思うんですが」などと意見を聞いていると、撮影が止まっちゃうということもありますしね。そういうコミュニケーションを、最初に取れる環境作りを目指したいです。お金がかかった商業映画で、事務所も大きくなってきたら、そういうことがさらに難しくなってきそうですけどね。

——新型コロナウイルスの収まった後に、映画の製作はどうなっていくと思いますか。また、監督自身はどういった作品を作っていきたいですか。

俺自身、5月上旬のクランクイン予定だった映画の撮影がどんどん先延ばしになっていますし、映画業界全般がどうなっていくかは全くわからないです。でも、俺は作家として、コロナのことを作品に反映しないといけないと考えています。真っ向からコロナというテーマに挑むということではないんですが、現実の社会や生活を無視することはあり得ないと考えています。例えば、人と人が簡単に出会えなくなった、手も繋げなくなっちゃった、という状況からのドラマも絶対に作れるはずです。個人的には、映画業界のみんなが、そうしたコロナを反映した作品に着手する方向にシフトしていったほうが良いと思いますね。

——では、次回作は新型コロナウイルスの状況を実際に反映しているのでしょうか。

実は今、“人間を喰いながら旅をする家族”の映画の脚本を書いていたりするんですよ。コロナのせいで頭がおかしくなっちゃった家族から、1人の女の子が逃げて、人喰い家族に出会うという物語です。その人喰い家族はキャンピングカーでずっと旅をしていて、世間とほとんど関わらず暮らしています。だから、コロナで何が起こっているか、何が大変なのかもよくわかっていないんですよ。“ノアの箱船”に乗るような話にしたいですね。

——凄まじいあらすじですね……その人喰い一家を描く映画もまた監督らしい、世の中にある既存の価値観を見つめ直せたり、現実に嫌な出来事があるからこそ良い意味でのモヤモヤした気持ちになれたりする面白い作品になることを期待しています。

阪元裕吾監督の作品