CINEMA DISCOVERIES

Profile

松本花奈

1998年生まれ、大阪府出身。
慶應義塾大学在学中。高校生の頃より映像制作を始める。主な監督作に映画『脱脱脱脱17』『過ぎていけ、延滞10代』『21世紀の女の子』(内一編「愛はどこにも消えない」)、ドラマ『平成物語』『ランウェイ24』、ショートフィルム『またね』など。最新作映画『キスカム!〜COME ON,KISS ME AGAIN!〜』が近日公開予定。

受賞歴

◯ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016オフシアター コンペティション 部門 審査員特別賞&観客賞
◯MOOSIC LAB 2016 準グランプリ
◯プチョン国際ファンタスティック映画祭2016 World Fantastic Blue部門ほか 、海外映画祭出品多数

Information

▼公式HP

http://hana0124.com

▼Twitter

http://twitter.com/hana_m0124

▼最新映画 公式HP『キスカム!〜COME ON,KISS ME AGAIN!〜』

https://kisscam.official-movie.com

Close Up
監督の魅力に迫るQ&A

Q. 映画制作をはじめたきっかけは?

高校生の頃に同じく映画を志す仲間と出会えたこと。

Q.影響を受けた作品、監督は?

李相日監督 映画「sixty nine」

Q.仲の良い監督は?

奥山大史監督

Q.一緒に仕事をしたい役者は?

のんさん

Q.注目している監督は?

スズキケンタ監督

Q.関心のあるテーマは?

家族

Q.監督業の面白さは?

色々な人と出会う機会が多い。

Q.映画づくりでこだわっていることは?

偶然の産物を生み出すための、必然の努力・準備をしっかりとする。

Q.映画づくりで成し遂げたいことは?

近藤龍人カメラマンと仕事をする。

Q.映画とは?

刺激。

Q.インディペンデントという領域の魅力は?

自由度。

Q.死ぬ前に映画を一本見るとしたら、何を選びますか?

沖田修一監督「横道世之介」

Q.映画を見る時に、何を期待しますか?

冒頭の掴み。

Q.映画の中のキャラクターとして生きるとしたら、どの映画の誰がいいですか?

映画「もらとりあむタマ子」のタマ子

Q.1年に一度だったり、数年に一度など定期的に必ず見る映画は?

中島哲也監督「告白」、「渇き。」

Q.好きな食べ物は?

しゃぶしゃぶ

Q.好きなスポーツは?

バスケットボール

Q.特技は?

腕相撲

Q.愛読書は?

田辺聖子「歳月がくれるもの:まいにち、ごきげんさん」

Q.邦洋問わず、お気に入りのスターは?

前田敦子

Q.居心地の良い場所はどこですか?

レインボーブリッジ

Interview

インタビュー・テキスト:石村加奈

あの思い出があるから、生きていけるみたいな瞬間を、1個でも2個でもいいから、どの作品の中にも入れたいと思っています。

愛してもらうには、どうしたらいいのかを考えることが、監督の役目

——『脱脱脱脱17』(16)は「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016」にて、史上最年少で審査員特別賞と観客賞のW受賞を果たし、大きな話題になりました。

ファンタスティック・オフシアター・コンペティション部門に参加できただけで、満足だったんです。何も獲らないと思っていたので、授賞式が始まる直前まで寝てました(笑)。連泊して、毎晩屋台村で朝まで遊んでいたので、ちょっと疲れちゃってて。そんな、ぽやんとした中での受賞だったので、私の中でも混乱しつつ、という感じでした。

——改めて『脱〜』は、いまの松本監督にとってどのような作品ですか。

同世代のあのメンバーでつくれて、本当に良かったと思っています。撮り終わった後も、まさにゆうばり映画祭の夜にも、高校を卒業したら、みんないろいろなことがあると思うけど、それぞれ違う場所に行っても、できれば(映画制作を)止めないで、なるべく撮り続けていければいいねって話して。いい意味で、当時はまだ完全に仕事としてやっていなかったので、そういう仲間、深い絆ができたことがすごく良かったなって。お客さんに作品を観てもらえたことや、劇場で公開してもらえたことも、めっちゃ嬉しいと思ったけど、あのメンバーでつくれたことが、いちばん嬉しいことです。

——『脱〜』で摑んだ、映画監督としての指針のようなものはありますか。

やっぱり、愛をもってつくったものは、形として残るんだなあと。だからこそ、一緒に作品をつくる仲間、キャストやスタッフに(その作品を)愛してもらうには、どうしたらいいのかを考えることが、監督の役目ではないかと思っています。自分の映画で、観てもらった人の考えが変わったり、感動してもらえたらいいなとも思いますが、その前にまず、一緒に作っていくメンバーに、作品のいちばんのファンになってもらうのが理想です。

——テレビドラマやMVなど、活躍の幅を広げる中、公開間近の映画『キスカム! COME ON, KISS ME AGAIN!』(19年/配給:吉本興業/4月3日公開予定)など、監督業に専念した作品もありますね。ご自身で脚本や編集を手がけてきた経験は、どのように活かされていますか。

自分で経験したことがあるからこそ、具体的なやりとりができている部分はあると思っています。例えば「もうちょっとガーリーな感じで」みたいな抽象的な言葉だと、自分と同じ感覚を持った相手なら伝わるのかもしれないけれど、そうじゃない相手もいるので。コミュニケーションをとる時は、なるべく具体で伝えた方がノーストレスかなと思うので、その辺はやっててよかったなって。自分で脚本を書くのも好きですが、自分で書くと、どうしても周りの人や自分自身がモデルだったりして。他の方が書く場合はそうではないので、いろいろなお話をしてから撮影するように心がけています。

目標に向かって、一本道には進んでいかない瞬間が好き

——さまざまな作品をつくる中で、変わってきたことはありますか。

エンターテインメントをつくりたいと思うようになりました。人に見せるものを前提に映画を撮るということは、シビアなことだと思います。撮影現場にいると、舞台を見ているような熱を受けることもありますが、現場の熱をそのまま、作品として伝えることを必ずしも良しとはしないというのか。独りよがりにはなりたくないと思っています。

——情熱を込めてつくった作品を、エンターテイメントに仕立てあげる冷静さというのは、いろいろな作品に挑戦し続けてきた、松本監督らしいテーマですね。短編も長編も、自在に撮られている印象も受けますが、尺の長短に限らず、大事にしていることはありますか。

日常を生きている中でも、ふと昔のことを振り返った時に忘れられない思い出というのか、あの思い出があるから、ちょっといやなことがあっても、生きていけるみたいな瞬間があると思っていて。そういう風に主人公が思える瞬間を、1個でも2個でもいいから、どの作品の中にも入れたいと思っています。

——もともとは役者業から映画の世界に足を踏み入れた松本監督ですが、映画監督業に目覚めさせた映画は何でしたか。

李相日監督の『69 sixty nine』(04)を観て、映像って面白いな、映画をつくりたいと思いました。ああいう、目標に向かって、一本道には進んでいかない瞬間が好きなんです。無理だとわかっているけどやってみるとか、寄り道するような感覚が、だんだんなくなってきちゃってるなって。(世の中全体が)なるべく効率的に生きていこうとする傾向にあるというのか。『69 sixty nine』を観ると、それだけじゃダメだなって改めて思い直させてくれる。ああいう青春、すごく好きだなって。

——お話を伺っていて、映画を観るひとときも、ある意味、人生の寄り道みたいなものかもしれないなと思いました!

たしかに、たしかに。

松本花奈監督の作品