CINEMA DISCOVERIES

Special Features 田中俊介のDJ vol.1──オススメ映画紹介

このコーナーでは、俳優の田中俊介さんをナビゲート役に迎え、シネマディスカバリーズ配信作の中から毎月3本をピックアップ。田中さんならではの視点で作品の魅力を熱く語っていただきます。さらに後半では、田中さんが「この方に是非お会いしたい!」とリスペクトしてやまない映画人をお招きし、濃密なトークを展開。さて、記念すべき第一回は、どんな出会いが待っているでしょうか————。

皆様、はじめまして! 俳優の田中俊介と申します。今月からシネマディスカバリーズのオススメ作品をご紹介させていただくことになりました。自分なりの言葉で魅力を語っていければと思いますので、どうぞよろしくお願いします!!

「生々しさというか荒々しさ。 綺麗にまとまっていない映画のパワーを感じます」

──別れそうで別れないカップルを描いた異色の青春映画『ぽんぽん』──

僕がずっと仲良くさせてもらっている監督に中村祐太郎という方がいます。同い歳ということもあり、親しみを込めて「祐太郎!」と呼んでいるんですけど、最初にご紹介する『ぽんぽん』は、そんな彼が学生時代に撮って反響を巻き起こした作品です。

分かりやすさの尺度で言うと、正直、分かりにくい映画かもしれません。でもそんな中で僕がひときわ衝撃を受けたのは、男と女の、ただただ時間が過ぎていく“空虚感”。これが本当に生々しく描かれているなあと思って。

このカップル、どう見ても、うまくいってる感じがまるでない。だったらいっそのこと、劇中でケージから解き放たれる小鳥のように、彼らも別れて自由になっちゃえばいいのに・・・。多分、本人たちも頭で分かってはいるんです。だけど別れられない。そんな関係性に「わあ、人間くせえなあ」という思いがこみ上げました。近所のアパートとかに、あんな二人が本当に暮らしていそう。そのくらいリアルなんですよね。

荒々しさというか、綺麗にまとまっていない映画のパワーが充満していて、学生映画ならではの凄みがあります。受け取り方は様々かもしれませんが、少なくとも僕には、大いに感じるものがありました。皆さんもこの作品から何かをキャッチしてくだされば嬉しいなと思います。

で、実は僕、かつて祐太郎の『Sweet Bitter Candy』という作品に出演させてもらったことがあるんです。でもこれがまだ劇場公開できてないようで・・・この場を借りてエールを送ってもいいですか?

おーい、祐太郎ー! あの映画、どうなったー?

僕らキャストやスタッフも心から待ち望んでいるし、ファンの方々もみんな応援しています。早く劇場で観たい!どうか、諦めずにがんばって!! 

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「あの、口の悪い、 おぼつかない感じの関西弁が、本当にカワイイんです」

──映画賞を総なめにした90年代の傑作『月はどっちに出ている』──

さて、続いては『月はどっちに出ている』という作品。主人公ふたりのやりとりが微笑ましくて、もう僕はずっとニヤニヤしっぱなしでしたね。特にコニーというフィリピン人の、口の悪い、おぼつかない感じの関西弁が、まー本当にカワイイんです(笑)! 主演のルビー・モレノさんがこの年の映画賞を総なめにしたのも大納得だなと思いました。

80年代から90年代初期の邦画って、今の映画には出せないドタバタ感というか、その場のグワッとうねるような、とてつもないエネルギーがあるんですよ。そこにポップでコミカルな音楽が加わって、さらに岸谷五朗さん、遠藤憲一さん、國村準さんなど、今や映画界を代表する立場の名優たちの、若かりし頃のお芝居が贅沢に詰まっている。これに触れられる喜びといったら、もう言葉にならないほどです。

‘93年公開の映画なので、当時の僕は3歳(!)。まだ幼すぎてリアルタイムでの劇場鑑賞は叶わなかったわけですが、そんな後追い世代の僕らでも、動画配信やソフトなどを通じて、今なおフレッシュな気持ちで本作と出会うことができる。素晴らしい作品は時代の壁を超えますよね。これって本当にすごいことだなって思います。

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「何かを抱えた三人が出会い、微かな希望を見出していく。 その展開に惹きこまれました」

──名匠、白石和彌が描く人間ドラマ『ロストパラダイス・イン・トーキョー』──

今回のラストを飾るのは『ロストパラダイス・イン・トーキョー』。今や日本を代表する名匠となった白石和彌さんの長編第一作目です。

白石作品というと、『凶悪』『狐狼の血』『止められるか、俺たちを』など代表作は数知れず。どれも傑作ばかりで、こんなすごい映画を撮る方の第一作目ってどんな感じだろうと、誰もが興味を持たれると思うんです。

僕も同じような気持ちでこの『ロス・パラ』を観て、まず思ったのは「なぜ、障害という題材を描いたのだろう?」ということでした。思えば、白石作品の主人公は皆、家族の事情や障害や、心に負った傷など、何かしら光の当たらない部分を抱えているんですよね。

本作でも知的障害を持った兄と、その暮らしを支える弟がいて、そこにデリヘル嬢で地下アイドルでもあるヒロインが加わってくるわけですが、それぞれに何かを抱えた三人が出会い、微かな希望を見出していく・・・その展開や内面の描き方がとにかく力強くって、惹きこまれずにいられませんでした。

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今回、対談のお客様として白石監督をお迎えするわけですけれど、お目にかかるのが久々なので、まずは再会そのものを楽しみたいな、と。コロナ禍についてどうお考えなのか。映画人として心境の変化はあったのかもお聞きしたいですね。

あと、すごく味のある笑い方をされるので、僕としては、あの笑い声に触れられるのも密かな楽しみのひとつです(笑)。

 

 

田中俊介のイチオシ!

  • 『ぽんぽん』
  • 『月はどっちに出ている』
  • 『ロストパラダイス・イン・トーキョー』