CINEMA DISCOVERIES

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ディスカバリー・ガイド

原一男監督のアクション・ドキュメンタリーの金字塔

天皇にパチンコ玉を撃った男、奥崎謙三が戦時中に2人の兵士を処刑した元上官や兵士を訪ね、真相を追求する姿を追った1987年の作品。

原は自らの手法を〝アクション・ドキュメンタリー〟と呼び、「個」の「肉体」に拘り、アクションのなかで相手と葛藤が起きる様を通じてドラマを描いた。
奥崎が元兵士に殴りかかるシーンもあるが、その文字通りの〝アクション〟だけでなく、原のカメラワークも目が離せない。奥崎の特異なキャラクター、カメラの前で彼がヒートアップしていく様、撮る側と撮られる側の緊張関係、突然訪問した先の元上官の反応の予想のつかなさ、等々。原の映画作品の〝面白さ〟のみを凝縮したような、今も色褪せることない傑作である。

インフォメーション

タイトル:ゆきゆきて、神軍

あらすじ

兵庫県神戸市兵庫区荒田町。色褪せたジャンパーを着た中年男が、シャッターを上げていた。看板にはキケンな(「キケンな」に傍点)メッセージがびっしり、大書されている。バッテリー・中古車修理店店長にして〝天皇にパチンコ玉を撃った男″奥崎謙三の登場である。
 兵庫県養父町。太田垣家の婚礼、媒酌人を務める奥崎が、居並ぶ親類縁者・長老達の前で祝辞を述べる。「花婿ならびに媒酌人、共に反体制活動をした前科者であるがゆえに実現した、類稀なる結婚式でございます」
天皇誕生日当日。「神軍平等兵奥崎謙三」「田中角栄を殺すために記す」「ヤマザキ、天皇を撃て!」「捨身即救身」……奥崎の物騒な宣伝車は公安によって行く手を阻まれる。車に立てこもって演説をぶつ奥崎。
「自宅屋上に独居房を作ろう」。そう思い付いた奥崎は、その実寸を測るため、神戸拘置所に向かう。静止する職員を罵倒する奥崎。「ロボットみたいな顔しやがって!」「人間ならば腹立ててみよ!」
 喪服の黒いスーツ姿に正装した奥崎は、ニューギニアで亡くなった元独立工第36連隊の戦友達の慰霊に出発する。“神軍”の旗をなびかせて疾駆する街宣車。
広島・江田島町。同年兵・島本一等兵の墓前で、島本の母・イセコをニューギニアにお連れすると約束する奥崎。
兵庫県浜坂町に、ジャングルで餓死した山崎上等兵、次いで南淡町に、毒矢で狂死した田中軍曹、と奥崎の慰霊行脚は続く。
 終戦から23日後、36連隊ウェワク残留隊内で隊長・古清水による2名の部下銃殺事件が起こった。その真相究明のため奥崎は、かつての上官たちの家を次々、アポなしで襲撃してゆく。その追求の果てに〝究極の禁忌(タブー)″が日々の営みの一部となっていた戦場の狂気が、生々しく証言されることになる――。

スタッフ・キャスト

監督・撮影:原一男
製作:小林佐智子
録音:栗林豊彦
編集・構成:鍋島惇

受賞歴:
日本映画監督協会新人賞
ベルリン映画祭カリガリ映画賞
日本映画ペンクラブベスト1位
毎日映画コンクール監督賞、他

1987年/122分/ドキュメンタリー

ⓒ 疾走プロダクション

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