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全身小説家

 
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  • 全身がどっぷりと嘘に浸かった小説家の人生とは

    監督:原一男/1994年/157分
    単品価格:500円
    セット料金 1,700円
  • ディスカバリー・ガイド

    これは、全身がどっぷりと嘘に浸かった小説家の人生を、真実を映し出すドキュメンタリーという手法で切り取った作品である。
    序盤は井上光晴という作家が生徒たちに崇拝されてた様を映し出し、中盤からは彼が嘘つきであることが次から次へとわかっていく。そもそも小説家は作品の中で嘘をつき続けるという商売とも言えるが、井上光晴はその嘘が自分の人生にまでおよんでいるのである。しかし、その嘘にまみれた人生が劇中で批判されることはない。彼は嘘を含めて丸ごと、人々に愛され続けていたのだ。その事実をもって、フィクションである小説、もしくは嘘そのものを肯定してみせるのが、この『全身小説家』なのである。

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    シノプシス

    主宰する<文学伝習所>の伝習生が書いた小説を、舌鋒鋭く批判する。その伝習生たちや朋友の埴谷雄高らと自宅の応接間で酒席を催す。旅回りの芸人に扮し、<津軽海峡冬景色>に乗って舞台でストリップを披露する。文壇バーでピアノの鍵盤を叩き躍る――作家・井上光晴のそんな姿を、映画は点描してゆく。そして伝習所に通う女伝習生たちは、頬を紅潮させながら、「先生」とのアバンチュールを仄めかす……。
    かかりつけ医から勧められ井上は、東大病院外科の門を叩く。診察室でレントゲン写真を指し示しながら医師は、井上がS字結腸ガンであると告知する。それでも井上は文学伝習所の講義や講演で全国各地を回り、野間宏と「部落解放文学賞」の選考に当たる。そして幼少時を過ごしたという佐世保の元炭鉱町・崎戸を訪れるなど忙しい日々を送っている。
    ふたたび井上は、東大病院で検査を受ける。ガンはさらに進行していた。1/4だけ肝臓を残し、患部を摘出する手術を提案する担当医師。井上は手術を受けることを決める。
    手術当日、開口された井上の腹からガン細胞に冒された肝臓が、手際よく摘出されてゆく。
    病後の経過を確認するため、井上光晴の病室を訊ねる医師。井上の腹部を縦に貫く縫合の跡が痛ましい。朋友・埴谷雄高、瀬戸内寂聴が、病床の井上の見舞いに訪れる。生前に井上が墨書した島の地図を手に原は、井上の故郷・崎戸に向かう。炭鉱夫に給料が支払われる「受け銭」の日。色鮮やかなチョゴリで身を飾り、鉦や太鼓で踊りながら海辺を練り歩く、韓国人の娼婦たち。その一人が初恋の相手である。あるいは早くに父親を亡くし、極貧の少年時代を過ごした。井上の親戚縁者に取材し、戸籍謄本にまであたる。調査が進むに従ってこれらの井上のことばの真偽、さらに〝嘘から出たまこと″の在り処が明らかになってゆく。

    スタッフ・キャスト

    監督:原一男
    製作:小林佐智子 編集:鍋島惇 整音・現場録音:栗林豊彦 音楽:関口孝

    キャスト:井上光晴 埴谷雄高 瀬戸内寂聴 野間宏

    〈イメージ篇〉
    デザイン:木村威夫 撮影:大津幸四郎 出演:金久美子

    映画祭・受賞歴

    ・第68回キネマ旬報ベストテン 1位・日本映画監督賞
    ・第49回毎日映画コンクール 日本映画大賞
    ・第18回日本アカデミー賞 特別賞
    ・第14回藤本賞 藤本賞・特別賞(小林佐智子)
    ・第19回報知映画賞 作品賞
    ・第4回日本映画批評家大賞 作品賞
    ・1994年度日本映画ペンクラブベスト 1位

    1994年/157分