CINEMA DISCOVERIES

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ディスカバリー・ガイド

原一男の「アクションドキュメンタリー」

原一男は、みずからのドキュメンタリー映画の方法を「アクションドキュメンタリー」と称している。このことばが意味するのは、映す側と映される側、双方の強烈な主体性である。

アジテートすることで彼らが抱え持つ問題をすべて白日の下にさらけ出そうとする。一方で映される側は、社会に対して、制度に対して、自身の肉体に対して、主体的に向き合おうとする。原はそのさまを「アクション映画じゃなくて、もうアクションそれ自体っていうかね。カメラがアクションする、肉体がアクションする、そうやって展開されるアクションを見ていきたい」(『踏み越えるキャメラ』フィルムアート社)と語っている。

インフォメーション

タイトル:さようならCP

あらすじ

車椅子から降りたCP者(脳性麻痺患者)・横田弘が、自室を出て団地の外廊下をイザッて歩き始めた。団地から外に出ると、低い位置で進む横田の目を、まばゆい陽光が射抜く。
大通りの横断歩道を四つん這いで渡ってゆく横田。不随意運動する首、四肢を使って、その姿はまるで喘いでいるようだ。信号が赤に変わり、横田の後ろを何台もの車が走りぬけてゆく。「怖かったよ」と告白する横田。その傍らで同じCP者である横塚晃一は、横田の冒険の始まりを撮影していた。カメラを持つその手は不自然に、くねるように曲がっている……。
見られる事のない場所から街頭へ、二人は飛び出した。
横田・横塚が所属する「青い芝の会神奈川県連合会」メンバーたちは駅前でマイクを手に、脳性マヒ者の権利を主張する。その活動を支援する募金を投じる主婦・サラリーマン・あどけない子どもたち……。「なぜ募金をしたのですか?」原のインタビューに人々は答える。「私たちは五体満足だから、気の毒だなと思って」「先祖のお墓参りに行ってきた帰りだから」
横田の自宅で酒を交わしながら、メンバーたちの赤裸々な性体験が語られる。
横田の乗った電車が駅に到着する。下車しようと戸口に向かい懸命に膝でイザる横田は、ホームへと転がり出てしまう。
横田の自宅。青い芝の会メンバーたちの間で、議論が白熱している。これ以上の撮影は拒否するという横田を、メンバーたちは攻め立てる。そもそもこの映画に反対していた横田の妻の怒りが爆発する。彼女はカメラの向こうの原を罵倒する。
新宿西口・地下構内。四肢と首を溺れるように、踊るように揺らしながら、横田はイザってゆく。メガネが落ちる、拾う、イザる。メガネが落ちる、拾う…… 
週末で賑わう新宿の歩行者天国。チョークを手にした横田は、不自由な手でアスファルトに文字を綴ってゆく。「横田弘 詩」。それは、健全者の人垣にぐるりを囲まれながらCP者・横田による、〝肉体の表現″だった。
横田弘が一糸まとわぬ裸身を晒して、広い道路の真ん中に座っている。意のままにならない肉体と格闘しながら彼は、重力に逆らって倒立を試みていた――。

スタッフ・キャスト

監督・撮影:原一男
製作:小林佐智子
録音:栗林豊彦
1972年/82分/ドキュメンタリー

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